働き方改革でサービス残業が増える危険性が高い理由

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働き方改革とはいったい誰がいいだしたのか

昨今、働き方改革でニュースで出ない日はないくらいホットな話題になってきました。

これまで、あまり聞かない単語でしたが、アベノミクスを推進するうえで、非正規雇用の待遇を良くすること、それから、女性の社会進出を促す意味から、働き方改革が必要という理屈です。

この改革、官邸のホームページに平成28年6月2日付けで、日本再興戦略2016というレポートがありまして、このようにあります。

生産性の高い働き方の実現
更なる働き方改革を推進し、生産性の高い働き方を実現するには、個人が「就社」意識から脱却し、職の選択に当たり、職場に長時間拘束されず、能力や個性に応じた専門性を磨き、自らの価値を最大限に引き出せる職場か否かを重要な考慮要素とする考え方が社会の中で一層浸透することが重要である。

上記の考え方は、まさに官邸主導で出てきたものであり、人口減少社会にどう対応するか考え続けた安倍政権の意向であることは間違いありません。

日本の労働生産性は先進国でも低い

日本は内需中心で、サービス業が発達していますから、一人当たりのGDPが低いのは仕方がないことです。

それにも関わらず、労働生産性を重要視するのはどうかと思いますが、金融立国であるルクセンブルグのように一人当たり年収8、900万というのも現実的ではありません(ウィキペディアには一人当たりのGDPは82,306ドルとの情報)。

とはいうものの、労働生産性が高いのに越したことはありません。

その分、余暇が増えますから、ライフワークバランスを享受するには労働生産性を上げるという発想は悪くありません。

しかしながら、日本の労働生産性は低い低いと言われ続けています。

正社員の長時間労働は、土日も返上で行われることから慢性化し、結局、成果はあまり出ないという理屈ですね。

でも、今の日本はホワイトカラーが多いですから、改善、改善と言って、トヨタのような発想をしてもそう簡単にはうまくいきません。

日本企業は個人に権限がない

日本企業は、大企業や官公庁ではそうですが、関係部署への根回しが必要です。

役所なんかが分かりやすいのですが、関係省庁に必ず、了解を取る作業が必要で、関係者の合意がすべて取れないと、ひとつの案件は前に進みません。

当然、決裁が終わらないわけですが、この一連の了解を取る作業に時間がとられます。

というよりも、この関係者への根回しが仕事の根幹をなしていっているといえます。

そこには、個人の考えはあまり反映されず、各部署の複数の幹部の意向が反映され、案の中身がこっちいったりあっちいったりして、最終的に仕上がるものが、当初と全く違うものになることもあります。

これを池田信夫氏はスパゲティ構造と呼んでいます。

関係者がスパゲティ状に利害が絡んでいて、外部からは何がどうなっているのかよくわからない状況で意思決定がなされます。

こういった仕事の仕方は日本独特のもので、個人に権限がある程度マンデートされている欧米企業、外資系とは異なり、労働生産性を低くする要因になっています。

今年の「ゆう活」は非常に評判が悪かったのも、こういった日本独自の労働事情があるからです。

働き方改革は労働者の地位を低下させる危険を内包

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働き方改革の一環として、36協定の見直しが検討されています。

青天井で残業時間を認める危険があるからですが、結局、上限を決めたところで、水面下のサービス残業を増やす危険が高い。

なぜなら、日本企業の仕事の進め方は、池田信夫氏のいうスパゲティ構造のままで、根回し文化が定着していますから、「俺は聞いてないぞ!」という幹部がひとりでもいれば、結局のところ、残業して対応するからないからです。

残業の上限を固定化する前に、業務のあり方、スパゲティ構造を打破しない限り、何をやっても実質的な残業時間は減りません。

部下の残業時間も人事評価の対象になってきますが、マネジメント能力のない上司は、力で部下を押さえつけようとします。

すなわち、「時間内に何が何でも終わらせろ」と言って、部下をつぶしにかかります。

こうなると、労働者は疲弊する一方で、良い結果は何も生まれません。

見た目の残業時間は減り、賃金は下がる、一方で、目に見えない残業時間が増えるだけです。

働き方改革は同一労働同一賃金の議論とセットでしないとダメ

日本企業は、新規一括採用という手法を取っています。

これは世界的に見れば珍しい話ですが、官邸の日本再興戦略のいう「個人が「就社」意識から脱却」するためには、日本企業の雇用のあり方も見直さないといけません。

これは、非正規雇用者の同一労働同一賃金にもつながる話です。

正社員を同一労働であるにもかかわらず、賃金水準が正社員の6割(欧米では8割)しかない状況は、正社員を守るために非正規雇用者から搾取を行っていることを意味します。

ですので、正社員の賃金レベルを大幅に下げる、そのかわり非正規雇用者の賃金を上げる、そういった話もセットにしないといけません。

「即効マネジメント ──部下をコントロールする黄金原則 (ちくま新書)」(海老原嗣生著、2016)には、このあたりの日本と欧米(EU)との労働事情の違いを丁寧に説明されています。

働き方改革を進めるには、日本企業の雇用のあり方が見直される、現在、正社員で働いている方にも大きく影響する話ですので、もっと国民的な議論に発展しないといけないのですが、その本質を的確に説明するメディアが少ないのが残念でなりません。

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